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電気・ガス代補助は、ほとんど唯一の善政である。

ξ

以前、アメリカ大統領選を眺めていたら、バイデン・ハリス側は、トランプ政権は失敗する、なぜなら高名な経済学者たちがトランプの政策を批判しているのだからと繰り返し主張していた。

 

(2024.11.1)23人のノーベル経済学賞受賞者、トランプ政策の難点を指摘

https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/837587

コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授からマサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授まで、23人のノーベル経済学賞受賞者がカマラ・ハリス氏を大統領として支持するとの書簡を公表した。」

 

しかし、有権者には、この4年間はその前に比べ物価・不動産価格は上がり賃金は伸びず生活が苦しくなった、物価高・インフレがひどくなったという声が拡がっていた。

有権者の大きな関心事は経済であり、とりわけ共和党支持者では経済問題がダントツだった。*1

 

民主党はダメだなぁと思ったのは、経済学者というエリート専門家を引合いに出せば相手をねじ伏せることができる、有権者も説得できるだろうと思い違いをしていたからだ。

実際にはハリスは、物価高・インフレに四苦八苦している声には触れまい、触れまいとして、トランプ過激主義の批判ばかり、自由だの民主主義だの未来を切り開く準備はできているだの、どうでもよい話にそらし続けた。

 

言ってしまえば、エリートによるエリートのための選挙戦としか言いようがなかった。*2

中絶の権利ですら、家計をやりくりしている女性の幅広い支持を得られなかった。

 

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ξ

ところで、ワタシはTV報道は見ないので知らないが、「電気・ガス代補助の再開「不適切」77%、経済学者47人調査」という新聞記事の見出しにムカッとしたのでこれを書き出している。

 

(2024.11.29)電気・ガス代補助の再開「不適切」77% 経済学者47人調査 日経エコノミクスパネル

www.nikkei.com

日本経済新聞社日本経済研究センターは経済学者に政策の評価を問う「エコノミクスパネル」の第1回調査の結果をまとめた。石破茂政権が経済対策に盛り込んだ電気・ガス料金への補助を「不適切」と答えた割合は77%に上った。補助金が市場の機能をゆがめ、脱炭素にも逆行するというのが主な理由だ。」

 

経済学者らが補助再開を「不適切」とする理由は

「特定の財への補助は価格メカニズムを通じた適切な資源の配分をゆがめる」

「価格が意図的に下げられれば、本来は減るはずだった消費が増える。補助による財政支出の拡大は物価を上げる。補助は物価抑制には逆効果で、環境保全にも悪影響を及ぼす」

などである。

 

毎月、電気・ガス代や水道代を並べて比較し嘆息している者に対して、「本来は減るはずだった消費が増える」などとバカなことを口走っている。

このような見解は、まともな人間が思いつくものではない。

この奇妙な人たちは、補助があっても光熱費負担額は増えているのだという実態に無関心である。それに食品をはじめ必需品の高騰が家計に追い打ちをかけているのだという実態にも無関心である。

 

ξ

ワタシは評判の悪かった岸田内閣のほとんど唯一の善政は、この電気・ガス代補助だと思ってきた。

この電気・ガス代補助は、給付金でお馴染みの住民税「非課税世帯」限定などという<差別>を設けることなくほとんどの世帯に還元される公平な政策である。

ワタシは脱炭素だの、太陽光パネルを無駄に設置するだけかも知れない再生可能エネルギーへの反論がいくらでも存在しているのに、当たり前のように「環境」を振りかざす大手メディア・自称専門家の感性を疑ってきた。

だから電気・ガスが原料価格急騰前の水準に落ち着くまで当然継続すべき政策だと思えた。

  

ξ

石破政権の補正予算案では、またまた「非課税世帯」への支援額が盛り込まれた。

コロナ以後、「非課税世帯」は、流行語大賞を与えたいくらい流布し注目された。

しかし生活水準の低下に苦しむ中間層=「就労のみで生計を立てている現役世代」には支援金が届いていない(一橋大・高久玲音氏)実態は、ただの<差別>というほかない。*3

だから高所得者層が対象に含まれていようが、まんべんのない(<差別>のない)電気・ガス代補助策は減税と同様、善政といえるのだ。

 

ξ

ちょうどハリス側がエリート学者を揃えてトランプの政策を批判させてみたものの有権者に響かず惨敗したように

大手メディア・学者らが、たがいの「使い勝手の良さ」(社会上層間の意思疎通のしやすさ)にもたれかかって、それにより世論を形成しようとしたら、しっぺ返しを食らう時代に入っているのだと思える。

 

国民は、閣僚・議員だの官僚組織財務省や日銀)だの大手メディアだの、エスタブリッシュメントつまり支配者然とした既存エリート集団を信用しなくなっている。

それは社会上層(エリート層)間だけで心地よい情報のやり取りをし、心地よい思想・文化そして世論を形成をしてきた歴史が破たんしかかっている、という意味だ。

それはヨーロッパ、アメリカでもまったく同様の傾向にある。

 

新型コロナワクチンは有害、カネ儲けの陰謀だったと、それを根拠がない(baseless)と無視した大手メディアに反抗して平然と喧伝される時代だ。

 ネット上のデマだ、誹謗中傷だ、信じないように、と言ってみるしか大手メディア・自称専門家は策がない。

 

ξ

もはや大手メディアも「使い勝手の良い」エリート専門家を集め、まとめ記事を書いて事足りるわけがない。

何か事態が動けば、SNSほか情報共有プラットフォームの影響がしきりに強調されるが、これはエスタブリッシュメントつまり既存エリート集団への反抗だから当然のことである。

 

「電気・ガス代補助の再開「不適切」77%、経済学者47人調査」というような見出しをつけて世論形成を行い

それがデマ、誹謗中傷の溢れるSNSよりずっと「高級」であるかのごとく勘違いし自惚れているのであれば、大手メディアの購読者数はさらに減るしかないように思える。

 

 


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